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そんなにうらやましくない????社長公募!新卒年収650万!
「上場メーカーが社長を公募。年収3500万」とか、「大手証券会社の新卒社員の給与は月54万、年収にして650万」といったニュースが注目されています。
確かに給与条件は破格ですよね。うらやましい・・・・・・ものなのでしょうか?その中身をきちんと検証することで、給与・収入というキャリア決定のフレームが見えて来ます。

働く以上給料が多くて困る人はいないでしょう。しかし給料は小遣いではありません。
実は私のキャリアデザインの授業では「給料」と「小遣い」の違いについて、わざわざ時間を取って説明しています。この違いを理解できていない社会人はびっくりするぐらい多いと思うからです。

サラリーマンであれば、普通は出世したくない人も、高給欲しくない人同様いないことでしょう。しかし管理職になり、部下の管理と、特に評価をしたことがあれば、「管理職」という立場が決してただイバっていれば良いものではないことをご理解いただけると思います。これから管理職を目指す皆さんも、当たり前すぎて説明不要でしょうが、「楽あれば苦あり」「人間万事塞翁が馬」「権利と義務」が必ず伴います。

年に1回程度上司と面談して業績評価をする会社は多いと思います。そんな時に「どれだけがんばったか」をアピールしているのに、結局昇給も、ボーナスもほとんど変わらなかった。下手すると下がった、等と言うことがあるかも知れません。

ここが「給料」と「小遣い」の違いなのです。

お父さんお母さんは、恐らく「がんばった」ことについてお小遣いをくれたかも知れません。しかし上司はお父さんでもお母さんでもありません。ただのサラリーマンです。(完全オーナー企業で、すべてを代表一人で決済できる会社だけはもしかすると違うかも・・・)
ボーナスを含め、給料は「上司個人のお金」ではなく、「会社のお金」です。会社のお金である以上、それを使うのには会社の許可がいります。

だから「がんばった」アピールでは会社の許可が取れないのです。
「どうがんばって、どんな成果をもたらしたか」以外では、会社のお金を使うことは普通は許されません。その説得を出来るかどうかで給料、ボーナスは決まって行きます。この不景気です。がんばるのは「当然」、がんばらない人はいらない、と言われてしまうのではないでしょうか。そんな環境でいくら「がんばりました」アピールをしても意味がないのです。極論すれば「がんばらなくとも、成果が出た」でも評価される可能性は高いと言えるでしょう。
もちろん単なるラッキーだけで評価されるほどのばく大な成果があった、という1回限りかも知れませんが。

一方小遣いは給料ではありません。だから全く仕事をしていなかった小学生の私もパパから手渡しで小遣いをもらうことが出来ました。「仕事」とは上記のような、何らかの成果や家計における生産性を意味します。子どもとして勉強をがんばることは、将来のキャリア構築につながり、親子であればゆくゆくは親にもそのリターンがある「かも」知れないという、細ーい可能性では生産性かも知れないですが、やはり勉強は自分のためであり、キャリアの視点からは仕事とは呼ぶことは出来ないでしょう。

元に戻ります。
社長として3,500万もらえるのは、会社に3,500万以上の利益をもたらすことが出来るからです。
社長でなくとも、ヒラとして年収350万もらえるのは、課長として600万もらえるのは、某証券会社の新入社員が650万もらえるのは、会社に、その金額以上の利益をもたらしているからだという事実は動かすことが出来ません。
会社に利益をもたらしていない人に、もしくはその人に払う給与以下の利益しかもたらせない人に、給料を払ったら、会社は赤字になります。会社・企業の目的である「存続」が出来なくなる訳です。

これだけ注目され、当然その会社の社員も「ウチの今度公募で入った社長は年収3,500万かあ」という目で見られる環境で、なおかつ当然のことながら全く未知な就労環境、業務環境という中で、3,500万以上の利益をもたらすという、実は目も眩むような厳しい条件なのだと言えます。
高給新入社員も、転勤や業務の対応含め、中途入社とほとんど同じようなパフォーマンスを求められ、それが出来なければこの待遇は終りです。普通の大卒初任給扱いに戻るか辞めるしか居場所は無いでしょう。

「利益」が何を意味するか定義はたいした問題ではありませんが、普通に考えて営業利益や経常利益、EBITDA等、要するに会社に残る利益です。売上ではありません。社長である以上、自分が売って歩くことが出来るのは限られています。売上と利益を伸ばす仕組み作りが出来なければ、早晩お役御免になることでしょう。

ここまで極端でなくとも、転職や就職において、少しでも高い給与を望む方。それは大いに結構。私も相当ガッついて給与交渉をして来ました。しかしそれを相手(=会社)に飲ませる、説得させることが出来るかは別問題です。ただガツガツしただけでは説得は出来ません。いかに相手を説得出来るか、そういう交渉力を磨いていただきたいと思います。
「がんばりましたアピール」が、「辞めますカード」*同様に役に立たないことをご理解下さい。
*(「辞めますカード 効果」でググると過去のコラムがわいてきます)
author:RMロンドンパートナーズ, category:仕事術, 22:09
comments(1), -, - -
Comment
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
履歴書の添え状, 2010/09/16 1:31 PM